言霊使い――有名ではないが虚でない存在。
小さな情報を手に田舎町へとたどりついた。
たまたま入った病院で、偶然か必然か、私は言霊使いという少女に出会う。
柔らかな笑みは、彼女が病人だということを忘れさせるものだった。
けれど、本当に苦しい病というものは、きっと目には見えないもので――。
その想いは真っ直ぐ届くことはなく、すれ違い……。
病んでいたのは、果たして誰か。
私には何も決められない。
ただ、きっとどちらにも何らかのきっかけが必要だった。
少女の決断は全ての答えを導き出す。
私はただ、その光景を黙って見つめていた。